家づくりの相談を受ける時によく、『変動金利と固定金利どっちがお得なのでしょうか?』と聞かれます。未来の金利は誰もわからないので一定の条件で比べてみましょう。
借入額3000万円
固定金利はフラット35で1.3%
変動金利は0.5%で10年ごとに0.5%金利が上昇したものと仮定します。
借入期間は35年間
途中繰り上げ返済をしないで35年借りるとします。
固定金利(フラット35)
総金利が7,356,564円で月々の返済が88,944円になります。
変動金利は
スタート時の金利0.5%の時は月々77,875円の返済
11年目からの金利1.0%の時は月々82,750円返済
20年目からの金利1.5%の時は月々85,827円の返済
30年目からの金利2.0%の時は月々86,907円の返済
総金利4,788,597円になります。
20年間はフラット35の金利より安く、15年間は固定金利より高い金利という条件になっていますが、金利差は圧倒的に変動のほうが安いです。これは金利は元本にかかってくるからというのが理由になります。当初3000万円の借り入れに対して固定金利は1.3%の金利ですから返済額のうち39,000円が金利です。変動金利の場合0.5の金利なので15,000円の金利返済になります。当たり前ですが借りた当初は元本が大きく、返済を続けていくうちに元本が減るので、20
年後は同じ返済額でも金利負担分が減り、元本の減り具合が早くなっていきます。その結果が今回のシミュレーション結果になったというわけです。
固定金利のメリット
・金利が変わらないので急な金利上昇リスクがない
・金利が変わらないので月々の返済も変わらず計画を立てやすい
変動金利のメリット
・金利がとにかく安い
・金利の推移次第ですけど総返済額が安くなる
デメリットはメリットの反対になります。メリットとデメリット両方を比べて、自分に合った金利選択をするようにしましょう。
おまけ1
固定金利を追い抜く金利上昇とはどのくらいか?というのは興味ありませんか?こちらをシミュレーションしてみました。
借入期間、借入額スタート時の金利は同条件とします、金利上昇は5年ごとに0.4%金利が上昇するものとします。そうすると最後31年目の金利は2.9%になります。ものすごい金利ですね。しかしこれでも総返済額7,148,193円でまだフラット35のほうが総返済額が大きいです。ただし毎月の返済額は金利上昇に伴って上がります。金利の推移とともに確認してください。
スタートの金利0.5%の時77,875円
6年目の金利0.9%の時82,528円
11年目の金利1.3%の時86,572円
16年目の金利1.7%の時89,936円
21年目の金利2.1%の時92,555円
26年目の金利2.5%の時94,365円
31年目の金利2.9%の時95,305円
これよりも金利上昇のスピードが速いと思うようであればフラット35で借りればいいと思いますし、そんなに金利は上がらないと思えば変動で借りればいいという話になります。
おまけ2
過去を見て今後もその通りになるという事はありませんが、一定の参考にはなると思います。三井住友銀行で2000年から月別で金利を掲載しています(店頭表示金利です)。それによると2006年9月までは2.375%、2006年10月~2009年1月は2.675%~2.875%で2009年2月からはずっと2.475%です。ソースはこちらをご確認ください。 三井住友銀行金利推移
店頭表示金利ってなに?という方もいると思いますので説明します。借りる時の金利は、店頭表示金利-優遇金利=借り入れる実際の金利という計算になります。銀行のホームページで変動金利0.475%とあるのは2.475%から、いろんな条件をクリアしてくれれば、2%金利優遇しますというものです。店頭表示金利を安くすると、過去借りてる人の金利も安くしなくてはいけません。銀行の儲けポイントのお金の貸し出しを、わざわざ、もうけを少なくしないようにはしません。ですからその年の契約によって優遇幅を調整し、時代に合わせた金利を作っているわけです。
まとめ
未来は誰も正確に見通すことはできません。固定金利・変動金利それぞれにメリットがあります。メリットだけではなくデメリットも理解して未来を想定し、選択すればきっと自分に合った返済方法を決められると思います。すでに住宅ローンを借りている方も、『借り換え』という選択肢があります。借り換えする時に金利を選ぶのにも活用できますので、役立てていただければ嬉しいです。